当時、仕事は考えていませんでした。帰国して娘の学校の先生が家庭訪問でいらしたときに、学校図書館のお手伝いを申し出てみました。本の修理や整理などできることはなんでもという気持ちでした。子どもの本と関わっていたかったのですね。
受け入れてもらえることになり図書室に行ったところ、本の背は陽に焼けてタイトルは見えないし、分類されていなくてバラバラ。司書はクラスを持つ先生が兼任していて、手が回らない状態だったのです。書架の整理や、消えかけた背表紙をマジックで書き直したりすることから手伝い始めました。それが一人で始めた最初のボランティアです。その後、学校の方針が変わり様々な分野でボランティアが活動するようになり、図書ボランティアは現在約30人。朝の時間に読み聞かせをしたり、おすすめの本を掲示したり、そんな活動をしています。
司書資格への挑戦
ー 司書資格を取得されたと伺いました。
ボランティアを続けるなかで司書資格をとっておけばよかったと感じていたところに市が学校司書を雇用すると知り、資格があったほうが有利だと思い2013年に大学の通信講座を始めました。勉強はきつかったです。レポートを書くのは何十年かぶりで、そんな私が2000字のレポートを何本も書かなくてはならなかったのですから。大学の教科書はチンプンカンプンな言葉が並んでいて難しくて、本好きだけでは済まされないことが嫌というほどわかりました。 翌年に司書資格を取ることはできたのですが、ちょうどその頃、介護が重なり、司書としての就職はあきらめました。
今は、学校の図書ボランティアとともに、公立図書館で週に2、3回アルバイトをしています。司書資格とは関係のない仕事ですが、好きだから。家庭の事情で司書にはなれませんでしたが、勉強したことに自分自身で満足できたから、よかったと思っています。
ー これからやってみたいことは?
やはり家庭文庫。本当にいいお話というのは、たとえ(筋を)忘れても生きていく上で「心の核」になるもの。そういう本との出会いの場、子どもたちが安心していることのできる場を作りたいですね。
タイ在住時よく利用していた子ども図書館を久しぶりに訪ねた鈴木さん。当時幼かった次女は昨年タイ語を学ぶために留学。その娘さんは鈴木さんの図書活動を「母の天職」と言う
取材・文・写真/ムシカシントーン小河修子
※の写真は鈴木真名子さん提供