雨季が終わり、からりとした空に冬の始まりを知る頃に、北から南に向かって吹く季節風がロムワーオ。ロムは風、ワーオは凧だから、凧揚げの風かと思っていたら、ワーオはモン語で「寒い」という意味だそうです。
雨が降らず風のある冬は凧揚げのシーズンで、王宮前広場が凧揚げのメッカだった頃、凧を持って出かけたことがありました。広々とした空に色とりどりの凧がロムワーオをとらえて舞い上がり、缶に巻きつけた糸をくいくいと手首で引くと、はるか上空の風と渡り合う高揚感がありました。
広場には物売りの姿もちらほら。天秤棒に吊るしたカゴにカオグリアップ・ワーオ(凧せんべい)をのせた振り売りと出会うのは、こんなところやお寺の縁日、市場の片隅、コンビニの前。その名のとおり軽くて薄くて大きいおせんべいで、先日買ったのは直径35センチもありました。
材料はもち米とヤシ糖。すべて手作業という地方の老舗では、一晩水につけておいたもち米を蒸して、臼と杵でこねてはついて、つやつやとしたなめらかなもちになるまで2時間。その後ヤシ糖を加えてさらに2時間ついたら、丸めて伸ばして天日で干します。
この伸ばす作業の必需品がゆでたアヒルの卵の黄身。卵黄をくだいて混ぜた油を手につけると、ベタベタした生地が手につかないのだそうです。そういえばホットケーキなどを焼くときに鉄板に卵黄入り油を塗っておくとくっつかないと、屋台の店主が教えてくれたことがありました。
せんべいの生地がほどよく乾燥したら、小ぶりの熊手のような道具ではさんで、素早く上下を返しながら強火の炭火であぶる。するとみるみる大きくなって2倍くらいになったところで焼き上がり。ひらひらと返しながら焼くのを眺めるのは、綿飴が雲のかたまりのようになっていくのを見るのと同じようにワクワクするものです。
焼き立てはさくさくして口溶けがよく、巨大な赤ちゃんせんべいのようですが、甘味はあかちゃんせんべいより強めです。